教師の“知恵”.netがお届けする教育MM「教師の“知恵”ぶくろ」
2006年2月22日 No171
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INDEX
01【国語】 仲間と共にファンタジーを楽しむ国語科学習
  中谷仁美@山口市立小郡小学校 

02【理科】 連載 使える授業ベーシック
ペットボトルは便利な実験道具
 
鷲見辰美@筑波大学附属小学校

03【案内】 第3回 使える授業ベーシックセミナー
01.【国語】◆仲間と共にファンタジーを楽しむ国語科学習
    中谷仁美@山口市立小郡小学校    
    
1 ファンタジーの楽しさ
 「ハリーポッター」「ダレン・シャン」「ナルニア国物語」など、ファンタジーのシリーズは図書室でも学級文庫でも子どもたちに大人気です。奇想天外な出来事、魔法の対決、登場人物の勇敢な行動など、物語の展開に心躍らせ読みふけっている姿をよく目にします。

 一方国語教室においては、ファンタジーをどのように楽しめばよいのでしょう。私自身は、ファンタジーを読むことが子どもの頃から大好きでした。しかし、国語科の授業でファンタジーを扱うとき、楽しさが抜け落ちていくような堅苦しさを感じていました。
 そこで今回は、ファンタジーの楽しさを味わいながら、言葉の力を身に付けられるような授業を考えてみたいと思います。

2 授業づくりのポイント〜「しかけ」への着目〜
 あまんきみこ作「名前を見てちょうだい」(東京書籍2年下)を教材として授業を行いました。この作品を楽しむポイントは『強い風』という「物語の“しかけ”」だと考えました。

 この物語は、帽子が風に吹き飛ばされるたびに、新たな人物が登場し、同じパターンで場面が展開していきます。この物語を「人物の心情」「物語の構成」「情景描写」などの切り口から扱った授業は多くあります。しかし、「物語の“しかけ”」に着目させる実践はあまり目にしません。この『強い風』という“しかけ”の役割について話し合うことを学習の中心に据えました。

3 授業の実際
 仲間と共にファンタジーを楽しむ学習を展開するために教師が行った手立てを具体的に紹介していきましょう。
(1)「しかけ」をクローズアップさせるM君
(2)「しかけ」を自分なりの言葉で表現させる一人学び

(1)「しかけ」をクローズアップさせるM君の素朴な疑問

最初に「名前を見てちょうだい」を読み聞かせた後、「お気に入りの不思議」というタイトルで初発の感想を書かせました。(下図「初発の感想『お気に入りの不思議』」)

13番のM君が「強い風」に着目し、「えっちゃんがこんな風の強い日に遊びに出かけることにしたのが不思議だ。」と書いていました。彼は不思議と感じた理由を、「台風でないとこんな風は吹かないから。」と記していました。M君がなぜ不思議と感じたか探ることを話し合いのきっかけとして提示したのです。
では、話し合いの様子を授業記録でご覧ください。
T M君が「さっそく、遊びに出かけることにしました」っていうところが不思議だっていうのはどうしてだろう?
C 何だか風と遊んでいるような気がする。
T 誰が?
C うめだえつこさん。
T うめだえつこさんが風と遊んでいるような気がするとY君が言ってくれたんだけど、どうですか?みなさん。
C 風とえっちゃんは、遊んでいるわけじゃない。
C 帽子と遊んでいる。
C 遊んでいるんじゃないと思う。だって、帽子が飛んでいって、追いかけているんだから遊んでないと思う。必死になってる。
C 風で遊んでいるんじゃなくて、帽子を取り戻した後、遊んでいる。門を出たとき風が吹いたんだから、帽子を必死で追いかけているんだから、遊んでいる意味じゃないと思う。
C 風と帽子が遊んでる。
C あのね、遊んでるんじゃなくて、風のせいで最後までいったら。えっちゃんは怒ったからね、風と遊んでない。

 なぜM君は「遊びに出かけることにしました」が不思議だと感じたのかを「遊ぶ」にこだわって探る話し合いが進みました。ここで教師はM君を指名し「台風でないとこんな風は出ない」という感想を披露させました。すると子どもたちは、お話の中の『強い風』と実生活の中の『台風の風』を比較する話し合いを始めたのです。

C あの、台風は続けて風が吹くけどね、このお話は順番順番に風が吹いてる。
C 最初にえっちゃんが帽子を追いかけているときは青空だったから、台風なんかじゃない。
C あのね、普通台風だったら風と同時に雨も降るし、葉っぱもいっぱい飛んでくるしね。でもね、天気そうだし、「牛は太陽を見てました」って書いてあるからね。
T 「牛が太陽を見ていた」って書いてありますか?みなさん。
C 「青い空を眺めていた」って書いてある。
T 青い空を眺めていたってことは、雨は降ってない?
C 「まぶしそうに」って書いてあるよ。
C 台風はずっと続けて風が吹くものだよ。ずうっと。
C 「さらっていきました」って書いてあるから、誰かがさらっていったのかな。
T 「さらっていった」っていう言葉にYくんは気が付いたのね。
C 大男が取ったのかもしれない。
T 大男が取ったのかもしれないの?この帽子を?
C えっと、台風が吹いているのなら、最後に、えっちゃんはまた飛ばされるとわかっているから、遊びに行かない。
T Mくんも同じだよね。台風が吹いている風だったら、えっちゃん、遊びに行くはずないよね。

 『強い風』に着目した話し合いの中で、子どもたちは「赤いぼうしをかぶった牛が一ぴき、青い空をまぶしそうに見上げていました。」「強い風がふいてきて、いきなりぼうしをさらっていきました。」という叙述を根拠として挙げることができました。「台風の風」という特徴的な視点をM君が提示したからこその結果です。

(2)「しかけ」を自分なりの言葉でネーミング「○○な風」
 ここまでの話し合いによって子どもたちの間に叙述をもとにした『強い風』のイメージが創り出され始めたところで、教師は一人学びの場を用意しました。

T みんなさっきから「竜巻の風」とか「順番順番の風」とか言ってくれているけど、このお話に出てくる『強い風』にもしも名前を付けるとしたら、あなただったらどんな名前をつけますか?

 一人一人にマグネット付きのカードを配り、「○○な風」に自分なりの言葉を当てはめるよう指示したのです。カードが配られるとすぐに子どもたちはペンで言葉を書き始めました。
「名前風」
「不思議風」
「意地悪な風」
「ぼうしをさらう風」
「大男がふいた風」「大男がすった風」
「春の風」「秋の風」


 これらのカードを黒板に貼った後、ネーミングの理由を交流する話し合いを展開しました。「風が帽子の名前を変えた」「風が帽子をさらっていった」「大男がふかせた風だ」のように、自分なりの考えを発表し合う中で、子どもたちの間に新たなファンタジーの世界が創り出されていったのです。

4 仲間とファンタジーを読む楽しさを味わわせるために〜今後の課題〜
(1)「しかけ」に着目するファンタジーの読み方
 「人物の心情」「物語の構成」「情景描写」ではなく、「物語の“しかけ”」に着目する読み方を子どもたちは経験しました。この授業で子どもたちは、登場人物である「えっちゃん」「牛」「きつね」「大男」と“しかけ”である「強い風」とを関連させ、位置関係を考えながら物語を読むことを楽しんだのです。
 読者がファンタジーの世界に引き込まれるのは、作者による“しかけ”と“しくみ”によるものです。特に“しかけ”のおもしろさを感じ、その役割を考え、効果を理解するファンタジーの読み方を子どもに提示する方法を今後も考えていきたいと思います。

(2)仲間と読みの交流をする楽しさ
先に紹介したM君は、授業の中盤しきりに首をひねっていました。授業に臨む前、彼は「『強い風』は台風だ」と考えていました。しかし、「名前風」「不思議風」という仲間の読みに触れるうちに、「台風ではないかもしれない」と考え始めたようです。公開授業中M君は何度も教師を手招きし、「この風は天気予報では予想できない風なんだよ。だから意味不明だ!」とささやいてきたのです。彼の素直な発見の喜びを、教師は授業の中に的確に位置付けることができませんでした。
一人一人の子どもが創り出したファンタジーの世界を、叙述に照らして整理し板書等で提示する教師の力量が必要です。毎日の授業で、自分自身の力量を高める努力をしたいと思います。
    
    
連載スタート!
 使える授業ベーシック    No.004
【理科】◆ペットボトルは便利な実験道具
      鷲見辰美@筑波大学附属小学校
 ペットボトルは、理科の授業において、とても重宝します。ここでは、てこの実験におけるおもりとしての利用を紹介します。てこの学習では、とにかく重い物が軽く持ち上がることを実感することが大切になります。砂袋やブロックを用意しなくても、ペットボトルを子どもたちに持ってきてもらえば、それが簡単に体験できるのです。
〔ペットボトルをおもりにしたてこ実験〕
 ペットボトルといっても、多様な大きさのペットボトルがあります。それに、水を入れると様々な重さのおもりができます。水は、1リットルの重さが1kgですから、2リットルのペットボトルで約2kgのおもりを作ることができます。そのペットボトルに、スズランテープで棒に引っかけるひもをつければ、おもりのできあがりです。

〔ペットボトルを使うよさ〕
○なんと言っても手軽に集められます。
○水の量を調整することで決まった重さにすることができます。てこ実験器を  使わなくても、てこの規則をみつける活動をすることができます。
○水を入れてスズランテープをつけるだけなので、子ども自身で作れます。
○集めたペットボトルは水を入れただけですから他の実験に転用可能です。

〔活動の流れ〕
1.事前準備
○子どもたちに家からペットボトルをもってきてもらいます。いろいろな大きさ のペットボトルがあるほうがよいので、家にあるものをもってくるように伝えます。
○ペットボトルの重さに耐えられる鉄の棒と支点に使う棒を用意します。点に使う棒は、安全のためしっかり固定するとよいです。
2.授業の流れ
(1)それぞれが持ってきたペットボトルに水を入れます。水の量は、好きな量 だけ入れていいよと指示します。水を入れ終わったところで、他の子のペットボトルとつり合わせることができるかなと問いかけてみます。

それぞれの子が持っているペットボトルの重さが違うほど、この活動はおもしろくなります。

【支点をずらせば、より重さに差のあるペットボトルをつり合わせることができます。しかし、単元の最初は、てこのしくみをみつけるためにも支点は、棒の中心から動かさないほうがよいでしょう。】

(2)いろいろなペットボトルをつり合わせる中で、両腕の支点からの距離×重さが同じとき、つりあうことがわかってきます。

(3)さらに、支点をずらすと、もっと軽い力で重い物が持ち上げることができることを実験してみます。

 ペットボトルは、他にも空気の体積変化、物を溶かしたときの質量保存を考える実験にも使えます。
03【案内】◆第3回 使える授業ベーシックセミナー
 
   第3回 使える授業ベーシックセミナー 

1 テーマ
  4月の授業開きから徹底したい授業ベーシック!

2 期 日  平成18年3月28日(火)
3 会 場 筑波大学附属小学校

4 主 催  使える授業ベーシック研究会

5 後 援
東京都教育委員会、神奈川県教育委員会、埼玉県教育委員会、
千葉県教育委員会、茨城県教育委員会

6 日 程
8:00 〜 9:00 受付
9:00 〜 9:50 公開授業1(国語・生活)
9:50 〜10:20 公開授業のベーシック提案1
10:40〜11:30 公開授業2(算数・体育)
11:30〜12:00 公開授業のベーシック提案2
12:00〜12:15 全体会・基調提案
13:20〜14:30 セミナー1(14講座)
14:50〜16:00 セミナー2(15講座)


7 公開授業

《公開授業1》
◆国語「説明文バラバラ事件 ―『またとない天敵』―」(6年)
授業者 : 田島 亮一 (東京・稲城市立稲城第七小学校)
ベーシック提案「つなぐ・補う・読みのコツ」
 
◆生活「私が大好き みんなが大好き」(2年)
授業者 : 鷲美 辰美 (筑波大学附属小学校)
ベーシック提案「低学年で育てたい学力」

《公開授業2》
◆体育「班づくりと仲良しゲーム」(5年)
授業者 : 平川 譲(筑波大学附属小学校)
ベーシック提案「学年始めに取りあげたい教材」

◆算数「『問題から問題へ』 ―小数と整数のしくみ―」(5年)
授業者 : 細水 保宏(筑波大学附属小学校)
ベーシック提案「教材研究がよい授業を創る ―確かさと豊かさの追究を―」

8 申し込みなど詳細  → こちら
 

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