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| 教師の“知恵”.netがお届けする教育MM「教師の“知恵”ぶくろ」 2006年2月22日 No171 読者数(4574人) このメールマガジンはオンラインでご覧ください |
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| 01.【国語】◆仲間と共にファンタジーを楽しむ国語科学習 中谷仁美@山口市立小郡小学校 |
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1 ファンタジーの楽しさ 「ハリーポッター」「ダレン・シャン」「ナルニア国物語」など、ファンタジーのシリーズは図書室でも学級文庫でも子どもたちに大人気です。奇想天外な出来事、魔法の対決、登場人物の勇敢な行動など、物語の展開に心躍らせ読みふけっている姿をよく目にします。 一方国語教室においては、ファンタジーをどのように楽しめばよいのでしょう。私自身は、ファンタジーを読むことが子どもの頃から大好きでした。しかし、国語科の授業でファンタジーを扱うとき、楽しさが抜け落ちていくような堅苦しさを感じていました。 そこで今回は、ファンタジーの楽しさを味わいながら、言葉の力を身に付けられるような授業を考えてみたいと思います。 2 授業づくりのポイント〜「しかけ」への着目〜あまんきみこ作「名前を見てちょうだい」(東京書籍2年下)を教材として授業を行いました。この作品を楽しむポイントは『強い風』という「物語の“しかけ”」だと考えました。 この物語は、帽子が風に吹き飛ばされるたびに、新たな人物が登場し、同じパターンで場面が展開していきます。この物語を「人物の心情」「物語の構成」「情景描写」などの切り口から扱った授業は多くあります。しかし、「物語の“しかけ”」に着目させる実践はあまり目にしません。この『強い風』という“しかけ”の役割について話し合うことを学習の中心に据えました。 3 授業の実際 仲間と共にファンタジーを楽しむ学習を展開するために教師が行った手立てを具体的に紹介していきましょう。
(1)「しかけ」をクローズアップさせるM君の素朴な疑問 最初に「名前を見てちょうだい」を読み聞かせた後、「お気に入りの不思議」というタイトルで初発の感想を書かせました。(下図「初発の感想『お気に入りの不思議』」)
13番のM君が「強い風」に着目し、「えっちゃんがこんな風の強い日に遊びに出かけることにしたのが不思議だ。」と書いていました。彼は不思議と感じた理由を、「台風でないとこんな風は吹かないから。」と記していました。M君がなぜ不思議と感じたか探ることを話し合いのきっかけとして提示したのです。 では、話し合いの様子を授業記録でご覧ください。
なぜM君は「遊びに出かけることにしました」が不思議だと感じたのかを「遊ぶ」にこだわって探る話し合いが進みました。ここで教師はM君を指名し「台風でないとこんな風は出ない」という感想を披露させました。すると子どもたちは、お話の中の『強い風』と実生活の中の『台風の風』を比較する話し合いを始めたのです。
『強い風』に着目した話し合いの中で、子どもたちは「赤いぼうしをかぶった牛が一ぴき、青い空をまぶしそうに見上げていました。」「強い風がふいてきて、いきなりぼうしをさらっていきました。」という叙述を根拠として挙げることができました。「台風の風」という特徴的な視点をM君が提示したからこその結果です。 (2)「しかけ」を自分なりの言葉でネーミング「○○な風」 ここまでの話し合いによって子どもたちの間に叙述をもとにした『強い風』のイメージが創り出され始めたところで、教師は一人学びの場を用意しました。
一人一人にマグネット付きのカードを配り、「○○な風」に自分なりの言葉を当てはめるよう指示したのです。カードが配られるとすぐに子どもたちはペンで言葉を書き始めました。
これらのカードを黒板に貼った後、ネーミングの理由を交流する話し合いを展開しました。「風が帽子の名前を変えた」「風が帽子をさらっていった」「大男がふかせた風だ」のように、自分なりの考えを発表し合う中で、子どもたちの間に新たなファンタジーの世界が創り出されていったのです。 4 仲間とファンタジーを読む楽しさを味わわせるために〜今後の課題〜 (1)「しかけ」に着目するファンタジーの読み方 「人物の心情」「物語の構成」「情景描写」ではなく、「物語の“しかけ”」に着目する読み方を子どもたちは経験しました。この授業で子どもたちは、登場人物である「えっちゃん」「牛」「きつね」「大男」と“しかけ”である「強い風」とを関連させ、位置関係を考えながら物語を読むことを楽しんだのです。 読者がファンタジーの世界に引き込まれるのは、作者による“しかけ”と“しくみ”によるものです。特に“しかけ”のおもしろさを感じ、その役割を考え、効果を理解するファンタジーの読み方を子どもに提示する方法を今後も考えていきたいと思います。 (2)仲間と読みの交流をする楽しさ 先に紹介したM君は、授業の中盤しきりに首をひねっていました。授業に臨む前、彼は「『強い風』は台風だ」と考えていました。しかし、「名前風」「不思議風」という仲間の読みに触れるうちに、「台風ではないかもしれない」と考え始めたようです。公開授業中M君は何度も教師を手招きし、「この風は天気予報では予想できない風なんだよ。だから意味不明だ!」とささやいてきたのです。彼の素直な発見の喜びを、教師は授業の中に的確に位置付けることができませんでした。 一人一人の子どもが創り出したファンタジーの世界を、叙述に照らして整理し板書等で提示する教師の力量が必要です。毎日の授業で、自分自身の力量を高める努力をしたいと思います。 |
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