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2006年3月15日 No174
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INDEX
01【算数】 「算数科での子供の考えをつなぐ話し合い活動で、
  わかり方を広げる」NO.1

  伊藤幹哲@山口大学教育学部附属山口小学校
02【社会】 ◆幕末の志士を中心とした授業
  森重孝太郎@山口県周南市立戸田小学校

03【国語】 連載 使える授業ベーシック
新聞記者になろう ―4年 自分新聞を書こう−

      駒形 みゆき@杉並区立杉並第六小学校

04【案内】 第3回 使える授業ベーシックセミナー

01.【算数】◆「算数科での子供の考えをつなぐ話し合い活動で、
         わかり方を広げる」NO.1
         伊藤 幹哲@山口大学教育学部附属山口小学校        

はじめに
算数科で話し合い活動を行ったときに、考えの発表だけで終わったり、わかっている子供だけの発言で話し合いがどんどん進んでいき、わからない子供がわからないまま授業が終わったりしてしまうことはありませんか?どの子供も話し合いに参加し、みんなで考え合いながらわかるような話し合い活動にするには、どうすればよいのかについて考えてみました。題して、算数科での子供の考えをつなぐ話し合い活動でわかり方をひろげるです。

まずは実際の映像で「考えをつなぐ」授業の一部を見て頂けたらと思います。
【子供の話し合っている姿】
上の写真をクリックすると、動画が始まります。
(WMV形式  約2分  2.8M)

子供たちの考えをつなぐと言いますが、話し合い活動で話し合っていれば考えがつながっているのかと言えば、そうではないと考えています。考えがつながった姿を「お互いの考えのももとなる解き方の共通点や相違点を子供一人一人が見出すことができた姿」ととらえ、授業を仕組みました。

考えをつなぐ1時間の授業の大まかな流れです。
1 学習問題を提示し、子供たちの幾つかの考えを板書させる
2 考えのもととなる解き方をしている子供の考えを中心にした話し合い活動を行う
3 話し合う中でわかったことや友達の考えのよさについて振り返らせる


 では、第4学年 面積「L字型の図形の面積の求め方」の授業を通して、具体的に述べていきます。与えた学習問題は右のような図形の面積を求めることです。

 今回は、「子供たちが考えをつないでいく話し合いをどのように行っていくのか」について詳しく述べていきます。次の3つのステップがあります。
ステップ1 幾つかの違う解き方の考えを板書させる
ステップ2 考えのもととなる解き方をしている子供を最初に発言させる
ステップ3 最初に発言した子供の考えとの共通点を問う発問をする

【ステップ1 幾つかの違う解き方の考えを板書させる】
座席表に子供たちの考えを見取ります。そして、違う解き方で考えている子供に幾つかの考えを板書させます。
これで、どの子供にも幾つかの考えが見えるようになります。板書上にそれぞれの考えがなく、口頭だけでお互いの考えを発言させていくと、発言している子供だけが自分の考えとつなげていることになります。そうすると、他の子供たちは何について話しているのかわからなくなります。板書上に幾つかの解き方の違う考えを残すことで、どの子供も誰のどの考えとつなごうとしているのかがわかり、「考えをつなぐ」土台ができるのです。
 【ステップ2 考えのもととなる解き方をしている子供を最初に発言させる】
【最初に発言した子供の考え】
上の写真をクリックすると動画が始まります。
wmv形式 40秒 1.9M


子供たちの考えから、最初に発言させる子供を選びます。最初の発言者として選ぶのは、「学習問題を考えるためのもととなる解き方をしている子供」です。この学習で言えば、「分ける」方法で解いている子供です。考えのもととなる解き方をしている子供を最初の発言者にするよさは、他の考えとつなぎやすいというところにあります。他の考えを最初に取り上げると、話し合いで他の考えとつなぎにくくなり、話し合い活動が停滞してしまう可能性があります。学習問題を解くためのもとになる解き方をしている考えから、他の考えをつないでいくことで、考えをつないでいく話し合いが可能になるのです。

【ステップ3 最初に発言した子供の考えとの共通点を問う発問をする】
 子供たちに教師が問うことは、「○さんの考えと同じ考えはありませんか?」です。このように問うことで、最初に発言した子供の考えと板書されている他の考えの共通点に着目して話し合いが進むことになります。「○さんと△君のここが同じと思うんだけど、わけは・・・」「でも、それは違うんじゃないかな?」と、「どの考えが解き方なのか」「どこが同じなのか」と、お互いの考えの共通点や相違点を見出していくのです。これが考えをつなごうとしている子供の姿になります。

 上記のような3つのステップで進めていくことで、子供たちが考えをつないでいくように話し合わせることができると考えています。
次回は、「考えをつなぐ」話し合い活動を行うことができる教材についてお伝えしたいと思います。

ご意見・ご感想をお待ちしています。itou@ymg-es.yamaguchi-u.ac.jp

    
02.【社会】◆「幕末の志士を中心とした授業」
        森重孝太郎@山口県周南市立戸田小学校    

1 はじめに
 社会科は暗記科目だと言われることが多いです。しかし、学習指導要領中の「〜を調べて、〜を理解する」という記述が見られるように、子どもが追究しながら社会のことを理解していくことが求められています。それでは、子供たちがどのような問いを持てば追究活動が発展していくのでしょうか。

2 人物を中心とした授業構成
 身近な人物を取り上げることにより、子供たちは郷土に注目して社会的事象を考え、中央や他の地域との関わり合いも追究の対象にできます。また、人物の行為を取り上げることにより「なぜその人物がそのようなことをすることが可能だったのか。」という条件面の追究にもつながってきます。さらにはその条件を基に「これからこの人物は何をすることができるのか。」という今後の手段を追究することで行為の背景にある社会の仕組みや構造を捉えていけるでしょう。
 
3 授業の実際
(1)事象との出会いと問い
 この実践では、第2次長州征伐(四境戦争)を最初に取り上げました。そこで提示した内容は次の板書の通りです。

 1866年、幕府軍は石州口、芸州口、大島口、九州口の4つの場所から総勢10万の大軍で攻めてきました。それに迎え撃つ長州軍はわずか3,500人です。

 人数比を見るだけでは明らかに幕府軍の優勢です。しかし結果は、どの場所においても長州軍が勝利しました。

 この結果を子供たちに伝えたとたん、驚きながら「なぜ長州はこんなに少ない人数で勝つことができたの。」という問いが口々に生じました。また、「なぜ幕府と戦っているの。」という問いも合わせて生じました。

(2)仮説の設定
幕府軍10万人に対して長州軍3,500人。それにもかかわらず長州軍が勝てたのはなぜだろう。

 
 まず、勝てた原因を一人一人が予想してみます。話し合いを通して次のような仮説が立てられました。
ア 大名に裏切られた。 (幕府軍なのに言うことを聞かない)(薩摩藩の裏切り)
イ 農民が強かった。 (百姓一揆や打ち壊しが農民を強くした。農民が戦う練習をした。)
ウ 新しい武器や仕掛けがあった。 (長崎から外国の物を取り寄せた)
エ 幕府軍は長州軍を甘く見ていた。 (人数が少ないぞ)
オ 他の場所から援軍を呼んだ。 (長州に近い中国や朝鮮から)
カ 気候や立地が有利だった。 (元寇の時のように気候が味方した。戦う場所が自陣である)

(3)追究活動


【高杉晋作】  
 下関砲撃事件から、子供たちは「なぜ、長州1藩が4か国と戦っているの。」という問いを出しました。その原因を探るためにさらにペリー来航の資料を提示しました。外国船を打ち払う目的で砲撃した結果、外国の力を知った晋作は倒幕へと目的を変えます。そして身分に関わりなく志のあるものを寄せ集めた奇兵隊を組織します。

【堅田少輔】  

湯野・戸田地域を治めていた最後の領主です。八幡隊を結成し、九州口の戦いに参戦しています。そして戦いで亡くなった武士と農民兵が同じ墓原に葬られています。子供たちは「身分制度が厳しかった時代なのなぜ。」という問いを出しました。ちょうどその時期、遠足で少輔の墓を見学しました。武士としての堅田氏の墓は少輔で最後になり、その子孫の墓がさらに立ち並んでいます。子供たちから「武士の時代が終わったら、少輔はいったい何をしたの」という問いが出てきました。

【大村益次郎】
 近代兵器であるミニエル銃を使用し、商農兵を組織して戦いました。幕府軍から「大村が長州にいては勝てるはずがない」と言われました。 

【坂本龍馬】
 四境戦争の5ヶ月前に木戸孝允、西郷隆盛に薩長同盟を結ばせました。それにより薩摩から長州へ近代兵器が大量に送られました。

(4)仮説の検証
このような追究活動を通して原因を探る中で、子供たちは長州藩が倒幕へ向かっていったことや薩摩と手を結んでいったことなどの経緯を捉えました。また、ミニエル銃の存在や作戦という要因を捉えました。調べたことを発表する中で、「農民が武器を持つことができるの。」という問いが生じ、その後「農民が武器を持つほど幕府に反抗しているのだね。」「農民まで戦える時代になったのだね。」という解釈につながっていきました。

(5)追究方向の転換

 このような原因が捉えられてきたところで、次のような問いを出しました。
幕府軍に勝利した長州軍は、外国に負けない国にするためにそれから何ができるのでしょうか。
 
この問いによって、長州軍に足場をおいて次の手段を考えます。そのためにも、原因として追及した中で登場した人物を再度取り上げます。子供たちの追究活動によって次のような内容が捉えられました。
【大村益次郎】 
 日本の軍隊の軍政改革を行いました。徴兵制による国民皆兵制度を作り上げました。身分制度によらない奇兵隊の考え方が日本国軍隊にも生かされています。

【堅田少輔】  
 領主としての役目を終えた少輔は、その後、中学校長や国会議員、湯野村長になっています。子供たちは「教員免許はその時代にあったの。」「国会議員にはどうしたらなれるの。」「武士だったから村長になれたの。」という問いを基に、学校制度や国会開設、廃藩置県などの経緯を捉えていくことができました。

【木戸孝允】
 伊藤博文とともに明治新政府の役職に就きました。博文は初代総理大臣になったことを調べる中で幕府に変わる内閣制度を捉えることができました。また「なぜドイツの憲法がお手本なの。」という問いにおいて天皇中心の世の中にしていくねらいがあったことを捉えました。

4 おわりに
 幕末における社会的事象のある場面から、まず過去へ向かい原因を考える問い、次にその背景を基にして手段を考える問いを組んだことで幕末を新しい世の中の始まりとして子供たちは捉えていきました。追究活動の中に人物を取り上げ、その行為の条件となっているものを調べる中で子供たちは時代の状況をつかみ取っていくことができます。人物を取り上げた時、その人物の行為の目的や手段を問うていく過程を仕組んだ授業をこれからも構想していきたいです。
    
    
連載
 使える授業ベーシック    No.007
【国語】◆新聞記者になろう―4年 自分新聞を書こうー
      駒形 みゆき@杉並区立杉並第六小学校
 物語で視点を意識させるさまざまな学習が実践されています。作品を別な視点から書き換えたり、詩や漫画で視点を明らかにして書き換えたりする実践です。これらの実践から、視点がどこにあるか意識することの重要性を感じます。本実践では、視点を変えることで、ものの見方や考え方・感じ方を広げることができることを生かそうと考えたものです。4年生の新聞作りや情報発信の学習を発展させて、2学期の様子を新聞形式でまとめることにしました。

<学習の流れ>
◇第1時 
・学習の見通しをもつ
・2学期を振り返り、思い出や自分の成長に関するできごとを思い出し、書き 出す。
◇第2時 
・1時に書き出したものの中から、記事にしたい項目をいくつか選んで下書き をする。
◇第3・4時 
・記事の数・下書きの量を考えて割付する。
・割付に従って、記述する。
◇第5時   
・できあがった新聞を読み合う。

「ぼくが、…」「わたしは、…」を書き換える
自分のことについて書くので、どうしても「ぼくが、…」「わたしは、…」という始まりになってしまいます。これを「○○君が、…」というように主語を変えさせます。感想や考えは、社説の欄を設けて、そこにまとめて書くようにします。
 
<新聞の中の記事から> 最初に読めるようになったむずかしい本
 佐藤君は、1学期までは読書の時間、しゃべることもちょっとはありました。2学期になって1時間目の読書の時間、本をさがしていたら、エジソンという本がありました。佐藤君は、なんとなくかりて読んでみました。そしたら、エジソンという本はけっこうおもしろくて佐藤君は、むずかしい本になれてきました。……集中して読めるようになりました。
 佐藤君は、昔はかんたんな本の方が絵とかがおもしろくて好きだったそうだけど今はむずかしい本の方が好きになったと言っています。

<下書きを書き直した例>
なわとびの思い出(書き換え前)
 私が一番思い出にのこったなわとびは、後ろあやとび、交差とびです。後ろとびは、コツをつかんで10回ぐらいできました。交差とびは、大きく手をのばすことのコツをつかみました。いろいろちょうせんして、どんどんできるようになりました。今度は、「前あや二重とび」にちょうせんしたいです。
               
 鈴木さんは、
「思い出にのこったなわとびは、後ろあやとび、交差とび。」
と言っていました。鈴木さんは、「コツをつかんだ」と言っていました。やく10回ぐらいできたとのことです。
「やっぱり、いろいろちょうせんすることが大事ですね。」
と一言言いました。次は、前あや二重とびにちょうせんする、と言っていました。

書くことにより気付く
 「2学期の自分新聞を作ろう」は、振り返り自分自身の成長を確認することができて、子どもたちの気持ちを高揚させたようでした。書くことで、新しい気づきがあり、そこに充実感を感じることができました。特にこの単元では、主語を変えて書き換えることに書くおもしろさを感じたようでした。自分の言葉をインタビューした形で書き出し、客観的に見た自分の姿を表現していました。自分自身のことでも、「記者の目」で表現することによって、その状況を詳しく伝えようとしたり、素直に自分自身をほめたりすることもできました。 
04【案内】◆第3回 使える授業ベーシックセミナー
 
 使える授業ベーシックセミナー

1 テーマ
  4月の授業開きから徹底したい授業ベーシック!

2 期 日  平成18年3月28日(火)
3 会 場 筑波大学附属小学校

4 主 催  使える授業ベーシック研究会

5 後 援
東京都教育委員会、神奈川県教育委員会、埼玉県教育委員会、
千葉県教育委員会、茨城県教育委員会

6 日 程
8:00 〜 9:00 受付
9:00 〜 9:50 公開授業1(国語・生活)
9:50 〜10:20 公開授業のベーシック提案1
10:40〜11:30 公開授業2(算数・体育)
11:30〜12:00 公開授業のベーシック提案2
12:00〜12:15 全体会・基調提案
13:20〜14:30 セミナー1(14講座)
14:50〜16:00 セミナー2(15講座)


7 公開授業

《公開授業1》
◆国語「説明文バラバラ事件 ―『またとない天敵』―」(6年)
授業者 : 田島 亮一 (東京・稲城市立稲城第七小学校)
ベーシック提案「つなぐ・補う・読みのコツ」
 
◆生活「私が大好き みんなが大好き」(2年)
授業者 : 鷲美 辰美 (筑波大学附属小学校)
ベーシック提案「低学年で育てたい学力」

《公開授業2》
◆体育「班づくりと仲良しゲーム」(5年)
授業者 : 平川 譲(筑波大学附属小学校)
ベーシック提案「学年始めに取りあげたい教材」

◆算数「『問題から問題へ』 ―小数と整数のしくみ―」(5年)
授業者 : 細水 保宏(筑波大学附属小学校)
ベーシック提案「教材研究がよい授業を創る ―確かさと豊かさの追究を―」

8 申し込みなど詳細  → こちら
   
 

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